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2014年2月11日火曜日

フィギュアスケート観戦のすゝめ【歴史と現状を知る(男子シングル編)】

こんにちは、あいかです。

フィギュアスケート団体戦5位おめでとう!!!(^^)/
この後の個人戦も最後までベストを尽くして頑張ってほしいです!!

さて、今回は前回の宣言通り、“歴史”について僕なりの解釈を書きたいなと思います。

なぜ、歴史を見るかって?

それは、

観戦するときの深みが増し、よりフィギュアスケートを面白いと感じるようになるから

と個人的には思っています。
13年見てると時代の変化が肌で感じられて、ときたまゾクゾクっとするときがあります。
この感覚が堪らなくイイんですね(笑)
そして、今まさにこの感覚を男子シングルで実感している最中なんです!だから、それをみんなに伝えたくて書きます。

最後には、なぜ今の男子シングルは面白いのか?
という問いに答えようと思います。ぜひこの問いを頭に入れて読んでみてください。

目次としては、こんな感じ。
・1998年長野五輪「3回転時代の終焉」
・1998~2002「ヤグディン、プルシェンコの2強と4回転時代」
・2002~2006「ルール改正と個性派選手の登場」
・2006~2010「総合力の時代」
・2010~「パトリック・チャンの時代と4回転時代再来」
・特記事項2013~「羽生結弦の台頭」

五輪を境にそれぞれ特色ある時代が展開されてきたんです(自論)

では、詳しく見ていきましょう。
ストイコ(左)、クーリック(中) 1998長野五輪


まずは、

■1998年長野五輪「3回転時代の終焉」

これからは4回転が必須となる、そんな予感がした五輪でした
一応言っておくと、このときはまだフィギュアにはまってなくて、後から演技を全部見返しての発言です。

FSでは、唯一4回転を成功させたイリヤ・クーリックが優勝。
ミスター4回転と呼ばれたエルビス・ストイコも、怪我のため、このときは4回転を跳ばなかった。
跳んでいれば優勝争いに絡めたかも・・・

そう、このときは4回転に挑戦するか否かの選択が金メダルの否かをわけるカギだったのです。


続いて、
■1998~2002「ヤグディン、プルシェンコの2強と4回転時代」

長野五輪後、ロシアのアレクセイ・ヤグディンエフゲニー・プルシェンコの2人がフィギュア界を牽引します。
プルシェンコ(左)、ヤグディン(右) 2002ソルトレイクシティ五輪
この2人はジュニアからのライバル。
2002年まで各大会で優勝争いを繰り広げ、男子シングルのレベルを一気に引き上げました。

この2人のレベルが如何に高かったかと言えば、
プルシェンコに圧倒的な強さを感じなくなった(周りのレベルが追い付いてきた)のが、バンクーバー五輪以降であることから、他の選手の約10年先をいっていた
ことからわかるのではないでしょうか?

もう、本当に凄かったんです!
因みに僕がフィギュアにはまったのもこの時期!ヤグディンの演技を観たのがきっかけでした。

ではいったい何が凄かったのか?

特筆すべきはジャンプ。

この時代には表彰台に上がる選手は皆4回転を習得し、SPとFS合わせて何本の4回転を成功させられるかというところまでジャンプ技術の底上げがなされていたんです。
勿論、今の時代ほど正確性は高くなかったにしても、長野五輪のときから考えると進歩がかなり速いですよね?

あと、個人的に書いておきたいのが、ステップ。


今でこそ、ステップで観客が湧いたり、プログラムの終わり近くにステップを組み込んで、プログラムのハイライトのような印象を持たせたりするのは一般的ですが(『知って感じるフィギュアスケート観戦術』より)、
この頃は“男子=ジャンプ”というイメージが強くって、ステップに目がいく人なんてまずいませんでした。
そんな時代にステップだけで観客を魅了し、今の表現方法としてのステップの基礎を築いたヤグディン(振付師ニコライ・モロゾフ)の功績は計り知れませんね。



一気にレベルがあがった後は、ルール改正もあり、人によっては停滞気味かなと感じる時期が来ます(あくまで主観です)。
■2002~2006「ルール改正と個性派選手の登場」

2002年のソルトレイク五輪で採点方法が問題となったことにより、新採点方式が導入され、大幅なルール改正が行われました。

この時期のルールで特徴的なのは、
3回転半や4回転など難易度が高いジャンプの点数が大して高くないこととジャンプに中間点が存在しないこと。
ランビエール


当時は、回転不足=回転数が一つ低いジャンプとみなされていました。
そのため、もし4回転を跳んで回転不足で転倒した場合、3回転の基礎点にGOE(出来ばえ)でマイナス点をつけられ、ほぼ点数が残らないということもしばしば。
なので多くの選手が無謀な挑戦よりも確実にミスなく滑るという戦術をとっていましたよね。

だが、これによりジャンプの進歩は一時その歩みを緩め、それまでのフィギュアファンの中には面白くないと感じる人もいたのではないかと思います。

しかし、フィギュアはジャンプだけの競技じゃない。


そうです、この時期にはジャンプ以外の技術の底上げがなされたんです。

それはスピン、ステップ。

ルールに細かな規定ができたためか、皆前よりも意識して取り組んでいたように思います。
レベルを確実とるために、何種類ものスピンやステップ、様々なエッジワーク習得に各選手が取り組んだでいました。
そのため、ステファン・ランビエール高橋大輔などレベルだけでなくオリジナリティ溢れるスピンやステップを披露する選手も現れてきたように感じます。
“スピンのランビエール”“ステップの高橋”などのキャッチフレーズが新聞やテレビの解説で盛んに用いられていたのもこの頃だったのではないでしょうか。


続いては、
■2006~2010「総合力の時代」

ライサチェク

演技全体をミスなく滑る総合的な選手が育成された時代だったという気がしています。
代表例を挙げるなら、2010年のバンクーバー五輪で優勝したエヴァン・ライサチェク
バンクーバー五輪では、4回転を跳ばなかったにも関わらず、4回転を成功させたプルシェンコを抑えての優勝だったことで論争が巻きおこりましたよね。あの表彰式は今でも目に焼き付いています。

ただ、この時期の“ミスなく”というのは、技術の停滞を意味してはいないと思うんですよね。
勿論、ジャンプの進歩は緩やかだったけど、それ以外のスピンやステップ、スケーティングなど全ての面で総合的に高い技術が求められるような雰囲気だったと思います。
どれかに強みがあってもそれだけでは勝てなくなり、高橋も得意のステップ以外の技を磨いいていました。
怪我もしたけど、結果的にはスピンやスケーティングなど全体の底上げができたからこそ、バンクーバー五輪で銅メダル、世界選手権で金メダルを獲得できたのだと思っています。

今、スケーティングという言葉が出てきましたが、

この言葉はパトリック・チャンを抜きにしては語れませんね。
2007-2008シーズンにシニアに参戦したとき、3回転しか跳ばないのにこんなに点数が出る選手がいるのかと衝撃を受けたのを今でも覚えています。
少ない歩数でトップスピードにのることができ、ジャンプの前後でスピードが落ちず、ステップでも流れるような演技をする。足元の技術の高さは、王国ロシアのコーチからも絶賛され、今では王者として君臨していますよね。

そんな、パトリックの評価が急上昇したのは?
次を見ていきましょう。

■2010~「パトリック・チャンの時代と4回転時代再来」

パトリック・チャン

このように名づけたのは、パトリック・チャンが名実共に世界チャンピオンとなり、男子シングル界を牽引しているから。この間の成績は
・2011~2013年の世界選手権3連覇
・4回転をSP・FS合わせて複数本成功
・世界最高得点を更新(継続中)

凄いですね!!特にバンクーバー五輪までは4回転を跳ばなかったのに、その後プログラムに入れてきたことがびっくりでした。
この影響からか、パトリックに勝つためには4回転が欠かせないということを多くの選手が感じ、4回転に挑む選手が増えてきましたね。

このように、ジャンプにおいて長らく緩やかであった進歩の速度が、ここにきて急上昇してきた。
れは1998~2002以来の「4回転時代」の到来だと僕は感じています。

勿論、4回転時代の再来にはパトリックの影響以外の追い風もありました。
それは、バンクーバー五輪後に行われたルール改正。
4回転の基礎点が上げられ(3回転の中には基礎点が下がったものも)、また中間点ができたことで、難易度の高いジャンプへ挑戦することが結果に結びつく可能性が高まりました。

ただ、以前の「4回転時代」と違う点も。
それは、今はジャンプの際に着氷時にもスピードを落とさないよなクリーンなジャンプが求められいるということ。GOEってやつです。
昔のような力強い4回転だけではないという点では、今の方がレベルは相当高いんじゃないでしょうか?

さて、ここまででさらーっと約15年の歴史をみてきましたが、最後にこれだけは付け加えねばと思ったので紹介しておきます。

■2013~「羽生結弦の台頭」

2012年の世界選手権のFS「ロミオとジュリエット」←ソチ五輪のFSでもありますよ!!

僕も含めて多くのフィギュアファンの涙を誘ったあの演技から評価はうなぎ上りでしたが、正直ここまでくるとは思ってもいませんでした。
羽生くんには申し訳ないんだけど、良い意味で予想を裏切ってくれました!

抑えておきたいのは、ソチ五輪の直前になって、パトリックの1強ではなくなったということ。

実力でパトリックに並んできましたよね!
そして、彼が完璧に滑りきれば、パトリックに勝てるという希望を私たちに与えてくれた。

ソチ五輪が始まって連日の羽生フィーバーも頷けます。



最後に、
なんで今の男子シングルはこんなにもワクワクするのか?

歴史から紐解くと、

・再び4回転を皆跳ぶようになり、さらにスピンやステップなどスケーティング技術も底上げがなされ、競技としての見応えが増した
そして、
・前は極めてハイレベルな戦いをほんの一握りの選手のみが繰り広げていたけど、今では全員で争うほど男子シングルのレベルが向上し、誰がメダルをとってもおかしくない状況になってきた

ことが大きな要因だと思います。

さらに、ソチ五輪に関して言うなら、上記にプラスして

プルシェンコという前時代の生ける伝説とパトリック、羽生といった新世代が同じ土俵の上に立って戦っている

もう2度と見られないかもしれない構図が目の前に広がっているんです。

まさに世代交代(まるで王位継承のような)という時代の境目に僕らが立っているという感覚

これがより一層、興奮を引き起こしているのではないでしょうか。


長くなりましたが、うまく伝わったでしょうかね?
毎度感じていますが、文字で伝えるのって難しいですね。
地道に向上させたいです。

次回は女子シングルについて書けたら書きます。

では、また次回。

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